綾戸智絵 ライブレビュー 1999/10/03 十勝・音更

 1999年8月14日夜、Book End (釧路)にて。マスター「パールパパ(実際は名前を呼ばれるわけだが)帯広だかどこだかに綾戸智絵が来るんだって?」パパ「ホント?、知らないなぁ。9月30日の苫小牧のライブは知ってるけど......それの間違いじゃない?苫小牧はちょっと行けないなぁ」。
 不覚にも翌朝にはそういう会話がなされたことはすっかり失念していた。8月下旬、帯広のCD屋でコンサートのポスターを見かけた。「10月3日 音更町文化ホール 綾戸智絵コンサート」何?オトフケ?そこの文化ホール?我が家から5分の距離じゃないか。マスターとの会話がよみがえる。本当だったんだ。どうしよう、売り切れていたら........1枚しか残っていなかったらカミさんは怒るだろうか.......カミさんにまずは電話。「行ってもいいよ」とのこと。「も」という部分がひっかからないではないが、まあ、それはよし。カウンターにいくと、まだ、たくさんあるというので喜んでいいんだか、がっかりするべきなのか複雑な気持ち。とにかくチケット2枚を入手。やったぁ〜〜。おぉ、質実剛健、実にシンプルなチケット。簡単に偽造できそう、しないけど。


 指折り数えて待つはずが、忙しさにかまけて、いつの間にか当日。18:30open、19:00startとのこと。18:20頃会場に着くと100名ほどの行列。最後尾に着き、入場を待つ。会場の音更町文化ホールのキャパは400くらいでしょうか。入場するとまず目を引くのは中央のピアノ。他に目を引くものはない。二日後の札幌では合唱隊も加わるようだが、音更では完全なソロ。鍵盤が見える左前方4列目に陣取る。もっと前も空いていたが奥ゆかしい.........客は9分の入り。むむぅ、ホームページのLive Informationでは、11月12月のライブがすでにsold out になっているというのに。音更にはもう来てくれないんじゃないかと心配してしまう。こんなことなら、私のホームページでもっと宣伝するんだったと悔やむことしきり。

 
 定刻を数分過ぎ、ステージの左袖から綾戸智絵が登場。おぉ、ついに生綾戸を、この目で。感激。NHKのトップランナーに出演したときやCD 「Life」とは髪の色が違うが、綾戸に違いない。きっと。「帯広に来ました〜〜云々」という挨拶の後、今から3日後の飛行機に乗るのが心配と。「みなさんをニューヨークへ連れてきまっせ」てなことを言い、一曲目
「New York State Of Mind」へ。Lifeでもオープニングだった曲。ライブで是非聞いてみたいと思っていたので、最初から満足、満足。147cm、38kgという小柄な体格からは信じられないような大音声が.........Billy Joelの原曲も良いが、綾戸バージョンもgut。続いて「Everything Must Change」。ヴォーカルはもちろんのことながら、曲間のMCがまた聞き物。実質歌ってる時間としゃべってる時間は同じくらいだったのでは。ネイティブ真っ青の英語の発音(ところどころこちらにわかりやすくカタカナ英語も使ってくれてました)とブラックさをもった歌唱力でオーディエンスを酔わせた後、関西弁(綾戸は神戸出身)のしゃべりで沸かせるという落差の妙。江利チエミの思い出、曲の内容を知ったときの驚きなどを交えながら、「Tenessee Waltz」。3rdアルバム Life からの曲が続く。「Love Letters」では「私はかいたことはないな、もらうばっかりで(笑).........何回も読み直して、開いたり閉じたりして........だんだん破れてきて裏からテープを貼ったりして.........あんた、せえへんかった?(笑)」。straight your heartの歌詞のところはスタジオ盤よりも、かなりカタカナ。続いて、故日野元彦のデビューはドラムではなくタップダンスだったというエピソードや訃報、葬儀でも泣かなかったが、兄日野照正がトランペットのソロで追悼したときには涙が出たという話を披露し「Mr. Bojangles」へ。アルバムLife自体もほとんどの曲がテイク1か2でオーケーとなるライブに近い録音だったが、この日の「Mr.Bojangle」はスタジオ盤以上にエネルギッシュなプレイ。ここで手拍子のレッスン(?)。綾戸に合わせて2拍目,4拍目に合いの手を。日本人の拍手は勝手にやらせると1拍目と3拍目になってしまうんですね。これは民謡のノリなわけ。ディープ・パープル(2期)の「ライブ・イン・ジャパン」のスモーク・オン・ザ・ウォーターでリッチーがイントロをやり直してるのも、この民謡のノリを嫌ったから。「Rout 66」では歌詞中のCaliforniaをHokkaidoに替えて歌ってくれた。けど、ちょっと字余り(ん?字足らず?)。

 綾戸は何度となく言う、音楽の素晴らしさ、言葉じゃなくて「伝わる」ことが大事なんだよ、と。「兄弟船」もフェイバリットだけどそれは、ちょっとスウイングしないから(笑)と。2nd アルバムの時は「Your Songs」というアルバムタイトルが先に決まり、自分の歌いたい曲を収録していったが、「タイトル曲がないぞ」ということでこのElton Johnの「Your Song」が決定。「Elton Johnのあの曲良かったねぇ、ダイアナの追悼の時の......名曲や.......ダイアナ........私よりちと顔はおとるけどな。品も..........私よりちと落ちるけどな(笑)」。「2枚目から演ったら、1枚目からも演らんとダメやねぇ......」と歌い出したのが「For All We Know」。続くは10月21日発売予定の4枚目のアルバムから「Sentimental Journey」。小さい頃から、Jazzやアメリカンポップスが家に流れていたこと、アイドルはフランク・シナトラやジーン・ケリーという「変な小学生」だった由。

 コンサートもいよいよ佳境に。「Life」を発表したときに、この曲を収録した理由をよく聞かれたと。理由はSMAPが好き、この曲が好きだから..........「Yozora No Mukou」個人的にはこの曲がこの日のベストチューン。ちょっと(T.T)しそうになる。ジャズのスタンダードからフィフティーズ、ビートルズ、SMAPまで自分のフィールドにとりいれてしまう才能には感服してしまう。次も4枚目のアルバムから、そして本日のライブのラストとなる「Autumun Leaves」。この曲では歌詞の冒頭の部分をでたらめなフランス語バージョン、ドイツ語バージョンで歌い会場を沸かせる。う〜んコミックバンド(一人だけど)みたいだ。北海道ということでのサービスだろう、果 てはロシア語(多分)バージョンまで飛び出す始末。まじめバージョンももちろん感動ものでした。4枚目の発売が待ち遠しい。

 当然拍手は鳴りやまず、綾戸は再び舞台へ。創作童話「青い鳥」(?)をピアノで弾き語り(?)アンコール曲の「Over The Rainbow」へ。

 実に充実したライブでした。終了後はCDに綾戸がサインをしてくれました。この日のために1st アルバムの「For All We Know」は買わずに残しておいたのです。(^o^)。また、機会があればライブを是非聞きたいと思っています。

セットリスト

01.New York State of Mind
02.Everything must Change
03.Tennessee Waltz
04.Love Letters
05.Mr.Bojangles
06.Route 66
07.Your Song
08.For All We Know
09.Sentimental Journey
10.Yozora no mukou
11.Autumn Leaves
(encore)
12.Over the Rainbow